Nagano Morita, a Division of Prager Metis CPAs

NAGANO MORITAは、プレーガー メティス米国会計事務所の日系部門です。

アメリカ駐在員のビザ種類

アメリカ駐在員のビザ種類

 

コロナ禍が明け、日系企業のアメリカ進出が再び活発化する様相を呈してる。その進出過程において、最も不確定要素が強いのは、就労ビザの取得と良く言われている。そのときの政治体制や、移民局の担当者によって、申請プロセルは変わってくることもある。そのため当初計画通り、本社からの駐在員をアメリカに派遣できず、失速するケースもある。今年11月の米大統領選挙を控えるなか、その計画予想はますます難しい。したがって、まずはビザの種類から理解してことが肝要である。今回はその一般的に申請利用できる就労ビザの種類について、その特徴と条件について概説する。

 

1.  L-1ビザ (企業内転勤者ビザ)

 

国際企業の米国外オフィス(日本)から、同系列のアメリカオフィスへ「社内転勤」する従業員のための就労ビザである。国際企業がアメリカ国内外に支店、子会社、関連会社を持っている場合に適用される。
<種類>
a. L-1Aビザ:管理職や経営者向け、有効期限は、3年+2年+2年=計7年
b. L-1Bビザ:専門的な知識を持つ従業員向け、有効期限は、3年+2年=計5年
<条件>
– 申請者は転勤前の3年間で少なくとも1年間、同一企業で働いていること。
– L-1ビザはEビザのように申請者や企業に対する国籍要件がないため、日本企業ではない企業や他国籍(例えば中国籍)のビザ申請者でも要件を満たせる。
– 新設立会社の場合は特別。米国での企業ヒストリーがなくても、駐在員を受け入れる準備が整っていることを証明すれば、まずは1年の滞在期間が許可される。その1年後、米国での事業拡大活動を証明できれば、2年ごとにビザ延長が可能となる。

 

2.  E-1ビザ (貿易駐在員ビザ)

 

アメリカと友好投資関係にある国との間で行われる駐在員ビザである。日米友好通商航海条約をベースにしてビザ発行される。ビザ申請者は日本国籍、かつ、派遣される米国企業は株式の過半数を日本人・日本企業が所有する、が重要となる。有効期限は5年だが、無限に更新が可能である。
<条件>
– 申請者は貿易に従事すること。
– 米国企業の国際貿易が相当額でありかつ継続的に行われること。
– 米国企業の国際貿易取引額の50%以上が日米二国間のものであること。

 

3.  E-2ビザ (投資駐在員ビザ)

 

アメリカと友好投資関係にある国との間で行われる駐在員ビザである。ビザ申請者は日本国籍、派遣される米国企業は株式の過半数を日本人・日本企業が所有する、という点ではE-1と同じでる。有効期限5年、何度でも更新が可能である。
<条件>
– 申請者は投資運営に直接関与する役割を持つこと。
– アメリカで既に投資が行われていること、あるいは投資過程にあること。
– アメリカでの投資が相当額であること。
– 投資は、アメリカでの雇用を生み、経済効果をもたらすものであること。
<E-2 ビザでの「投資」の具体例>
‐設備投資
‐在庫購入
‐事務機器や商品購入
‐不動産投資

 

4.  H-1Bビザ (専門職ビザ)

 

特定の専門職に従事するため米国滞在したい外国人労働者向けの就労ビザである。通常、エンジニア、会計士など技術職や専門職が多く含まれる。有効期限は、3年+3年=計6年となる。
<条件>
‐申請者は専門的な知識や技能を必要とする職務に従事、通常学士号以上の学歴があること。
‐米国企業は、労働条件申告書(LCA)を提出、適切な賃金(Prevailing Wage以上)支払うこと。
<抽選>
H-1Bは年間発行数に限度キャップが設けられてる。そのため、新規申請はまず抽選で選ばれる。具体的には通常3月頃に移民局ウェブサイトにより電子登録、そののち抽選が行われる。そこで当選した者のみ、次ステップとして4月から正式なビザ申請できる。申請が許可された場合、10月1日からアメリカ企業で働ける。

 

5.  O-1ビザ (卓越した能力保持者ビザ)

 

科学、芸術、教育、ビジネス、又はスポーツの分野で卓越した能力を持つ個人向けの就労ビザである。
<条件>
– 申請者はその分野での卓越した能力を証明する必要がある。
– アメリカでの活動がその分野に関連していること。

 

6. B-1ビザ(短期商用ビザ)

 

就労はできない(労働対価として報酬を受領できない)が、ビザウェーバーの90日を超えて米国に滞在したい場合、180日まで米国滞在が認められる「非就労」タイプのビザである。報酬を得ることはできないが、米国での展示会参加、契約交渉、市場調査などの渡米目的で利用することができる。

 

その他、アメリカ就労ビザの詳しい制度内容については下記の移民局ウェブサイトに直接あたってほしい。
<米国移民当局短期就労ビザ ウェブサイト>
https://www.uscis.gov/working-in-the-united-states/temporary-nonimmigrant-workers

 

7.まとめ

 

これらの就労ビザを取得する際には、企業と申請者の具体的な状況に基づいて選択される。実際の申請プロセスは複雑であり、それぞれの提出書類要件や、メリットとデメリット、申請上のリスク(申請却下された場合の対応)などに鑑みて、総合的かつ戦略的に選ぶべきである。そのため、適切な法的助言を移民弁護士から受けてから注意深く進むことが推奨される。

 

<本ニュースレターは、米国における一般的な動向や情報をご案内する目的で配信している。具体的なご質問やアドバイス等は専門家に直接ご相談下さい。>

 

(参考)
U.S. Citizenship and Immigration Services, Temporary (Nonimmigrant) Workers updated 7/24/2024

ジェトロニューヨーク ニューヨーク州における事業進出マニュアル‐ビザ‐2024年2月

ジェトロ調査部北米課 2023年度海外進出日系企業実態調査(北米編)2023年12月

ライトハウス・ロサンゼルス 移民法 Q&A 2022年6月

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