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米国の個人所得税確定申告について 2017/06/04

会計税務情報 ~基礎編~ 2017年6月号
永野森田米国公認会計士事務所

米国の個人所得税確定申告について

 

会計税務の基礎的な情報、「基礎編3」をお届け致します。
米国でビジネスを開始しまたは居住しはじめると、「個人が税務申告書の申告責任を負う」ということに気づくことになります。税務についてはまったく知識も興味もなくとも、アメリカで生活する上では、専門家ではなくともある程度の常識的な範囲内での税務知識を得なければなりません。今回は、そうした個人所得税確定申告書についての基礎的な部分について、説明を行いたいと思います。


1. 日本との大きな違い
一般に日本の確定申告においては、雇用主が給与から所得税の源泉徴収をし、さらに年末調整を行なってくれるため、自営業者や高額所得者などの限られた場合を除き、個人が確定申告の手続きをするということはあまり一般的ではないのかもしれません。一方、米国における確定申告では、確定申告を個人で行なうことが義務付けられています。その代わりに、非常に多くの節税の可能性があり、税金対策を考慮に入れて自らのファイナンシャルプランを考えるのが、米国では普通のこととなっているのではないでしょうか。いかに税金を節約するか、米国の居住者は日常から考えて行動している方も多いのではないでしょうか。従って、仮に米国に一時滞在する場合でも、滞在期間中の税金を意識することは大切なことと考えられます。


2. アメリカの確定申告の現状
IRS Form 1040 Instructionによると、申告書作成にかかる時間は、すべての納税者の平均で13時間となっています。米国では、節税を追求する税の専門家と、いかに脱税を防止するかを考えるIRSとのいたちごっこが、今日まで繰り返され、米国税法は年々複雑なものになってしまっています。そのため、確定申告のソフトウェアや申告代行のビジネスが成り立つのが米国の現状です。


3. 誰が申告義務を負うのか
では、いったい誰が米国では申告義務があるのでしょうか 。米国税法上居住者(Resident Alien)として扱われる人は、一定額以上の所得がある人が申告の義務を負います。一定額というのは、ファイリングステータス等により異なる所得額となります。詳しくはForm 1040 Instructionを確認頂く必要があります。 
2016年度の場合での一例となりますが、独身かつ64歳以下の場合は総所得が$10,350以上あるときには申告義務が生じます。
一方、米国税法上非居住者(Non Resident Alien)として扱われる人は、所得の有無に関わらず、米国内で何らかの経済的活動を行っている人(Engage in any trade or business in the United States)が申告書の提出義務を負います。ここでいう経済的活動には学生、教師、研究者などの活動も含みます(ここでは、通年米国以外の国に居住している非居住者(Non Resident Alien)を除いております)。ただし、この例外として、F、J、M、Q ビザのStudent、TeacherおよびTraineeに該当する非居住者(Non Resident Alien)で、*米国源泉所得(U.S. Source of Income)がない場合は、所得税の申告書(1040NRなど)の提出義務が免除されます。しかしその場合、Non Resident扱いであることを申請するための書類(フォーム8843)を期日までに提出する義務があります。従って、税法上非居住者(Non Resident)扱いを受けると、ほとんどの人が何らかの書類をIRS(米国歳入庁)に対して、毎年提出する義務があるということです。

 

米国税法上居住者(Resident) ・・・ 一定額以上の所得がある人
米国税法上非居住者(Non Resident) ・・・ 何らかの経済的活動を行っている人(Form 8843だけの提出も含む)


4. 例外措置
米国からの就労所得(Effectively Connected Wages)によって申告義務が生じている非居住者(Non Resident)扱いの人で、その就労所得金額が人的控除額(Exemption: 2016年は$4,050)を超えない場合は申告義務が免除されます。

 

  • F、J、M、QビザのStudent、TeacherおよびTraineeに該当する方で、*米国源泉所得(U.S. Source of Income)(租税条約による非課税所得を含む)がある場合は、Form 1040NRもしくはForm 1040NR-EZ+Form 8843の提出義務があります。
  • F、J、M、QビザのStudent、TeacherおよびTrainee に該当する方で、*米国源泉所得(U.S. Source of Income)がない場合は、Form 8843のみを申告期日までに提出する義務があります。
  • フォーム8843に関しては、J-2、F-2ビザなどで滞在する家族の分も含めて提出する義務があります。

 

*厳密には、米国源泉所得(U.S. Source of Income)のうち、米国で源泉徴収を受ける所得を指しています。
(重要)F、J、M、Q ビザのStudent、TeacherおよびTrainee に該当する非居住者(Non Resident)は Form 8843 の提出義務が毎年あります。


5. いつ申告するのか
申告書の提出期限は、どの期間を会計年度とするかによって選ぶことはできますが、個人所得税申告の場合は、給与のレポート(Form W-2)やその他所得のレポート(Form 1099など)が暦年で発行されることから、暦年をベースとすることが最も簡単な方法です。個人所得税の申告期限は会計期間の終了日から4番目の月の15日となります。従って暦年の場合は、4月15日が期限となります。延長申請書Form 4868を提出することで、申告期限は6か月延長することができますが、税金の支払いの延長はできませんので、支払う税金がある場合は、延長申請と共に納税手続きを行う必要があります。


6. 申告しないとどうなるのか
申告を怠るとどうなるのでしょうか。米国内で所得がある場合は、W-2や1099などを通じて納税者の所得情報がIRSなどの政府機関へ送られます。申告を怠った場合は、報告された所得情報から各政府機関は税金計算をし、税の不足分に対して延滞の利息とペナルティを加算し、納税者に請求をします。米国では、避けられないものとして「死ぬこと」と「税金」と冗談で言われているほどですので、例え一時的な米国滞在であっても、米国の申告義務を遵守することが必要となります。

 

7. 時効について
税金に関することは、法律に基づくものなので時効というものが存在します。連邦所得税の申告書に関しては、提出日もしくは、締切日(暦年の場合は4月15日)の遅い方より3年間です。従って、過去に申告した申告書のうち、還付金(Refund) を請求できるのもこの期間のみです。また、IRS側も税金の不足額の発見に対して修正や支払い命令もこの期間内になります。ただし、収入(Gross Income)の25%超が申告漏れの場合は、この期間が6年に延長されます。さらに虚偽の申告や申告書を提出しなかった場合には時効は適用されません。


このように、後々税金の問題で苦しむことがないように、期限内にきちんと申告をする必要があります。

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