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パートナーシップの会計と税務の基礎(その3) 2015/12/04

会計税務情報2015年12月号

永野森田会計士事務所

 

パートナーシップの会計と税務の基礎(その3)

 

アメリカのパートナーシップへの投資が増えつつあるようである。その背景にあるのは、アメリカと日本を自由に往来するこのできる通行手形―Green Cardの入手、不動産や農業のハイリターン期待、各種資源確保やハイテク技術取得といった動機が働いているように思われる。投資活動が活発化する中で、その独特の会計方法についての理解が求められる所以である。本稿では、3回に分けてその基本的な枠組みについて考察する。そこで今回3回目は、パートナーシップを理解する上で最もハードルの高いSubstantial Economic Effectについて解説し、基礎講座を締めくくることにする。

 

1、パートナーシップの魅力

 

パートナシップの最大の特徴は、構成員課税方式でありパートナーシップ自体は納税主体にはならない点にある。言うまでもなく、パートナーがそれぞれ納税主体となることで、株式会社のような二重課税を避けることが出来るが、実は、後一つ他の形態には見られない魅力を兼ね備えている。それは、配分(Allocation)の自由性である。株式会社の場合、そのオーナーである株主への経済的果実の還元手段は、原則として持ち株比率に応じた現金配当に限られるのに対し、パートナーシップでは、そのオーナーであるパートナーに対し、様々な還元手段が用意されているのだ。

 

念のためにパートナーシップの配分を司る条文であるIRC 704(a)を確認すると、次のように書かれている。

 

“A partner's distributive share of income, gain, loss, deduction, or credit shall, except as otherwise provided in this chapter, be determined by the partnership agreement.”

 

一定の制限内ではあるが、事業や投資活動が生み出す様々な経済的属性の配分方法をパートナーシップ契約で自由に決めることが出来るという趣旨である。例えば、持分が同じ3人のパートナーで構成されたABC Partnershipは必ずしも利益、損失等を3等分しなければならないわけではなく、持分に拘らず、例えば、Aに50%、Bに30%、Cに20%といった不均等配分が可能である。更に、特定の経費項目はAに、Bにはその他の経費、Cには利益といったアラカルト的盛り合わせも可能である。

 

然しながら先に引用した条文にもある通り、その柔軟性は一定の制限内(IRC704(b), IRC704(c), IRC704(e))でのみ許容される。本稿では、その中で、最も重要と目されるIRC 704(b)を取り上げる。

 

 

 

 

2、Substantial Economic Effect(実質的経済性)

 

前月号で704(b)Bookは、パートナーシップの清算時の各パートナーへの配当額を決定する為に用意されている旨述べた。上記の配分の自由性というのは、この清算配分が適正に行われることを前提としており、その適正条件は、Substantial Economic Effectによって担保される。

 

Economic Effect―経済的取引はパートナーの夫々のCapital Accountに正しく反映されなければならないとする考えである(Treasury Reg. 704-1(b)(2)(ii))。例えば、ABパートナーシップ(50:50)に於いて、ある年度の損益結果がロスで、当初の契約により、そのロスの全額がAに配分された時、Aの Capital Account は同額が減額され、Bの Capital Accountには影響が無ければ、Economic effect 条件は満たされていると考えられる。

 

別の事例を用いる。XYが夫々$300 出し合って作ったパートナーシップが$200の土地を買ったとする。数年後、その土地が$250に値上がりした時点でその土地をXに譲渡したとすると、Economic Effect によりXの  Capital は$75でYの Capital は$325になる。

 

大雑把な言い方をすれば、704(b)基準のCapital Accountを維持することがEconomic Effectということになる。

 

Substantial― 各パートナーへの配分がEconomic Effect基準をクリアーできたら、次にSubstantialかどうかが問われる。このSubstantialの意味するところは、「配分に応じた税金負担」の条件と読み替えるとわかり易い(Reg. 704-1(b)(2)(iii))。即ち、租税回避の道具(Tax Shelter)であってはならない。持分比例による標準的な配分でパートナーが負担する税額の合計と特殊な配分方法によってパートナーに配分した場合の担税合計額を比較して後者が前者より少ない場合、この配分方法はSubstantialでない可能性がある。特殊配分により或るパートナーの税負担が軽くなれば、他のパートナーの税負担が増えることが期待されているからだ。例えば、ABパートナーシップがRental Income と Tax Exempt Incomeを得たとする。Aは多額のPassive  Lossを抱えているとして、そのPassive  Lossを有効に使う為、ABパートナシップ契約でA に優先的にRental Incomeを配分し、Bには優先的にTax Exempt Income を配分するとすれば、持分比例配分によるA,Bの税額合計が契約で定めた配分方法のもたらす税額を上回ることが想定される。なぜなら、Aの税負担が軽減される一方で、Bの税負担も軽減されるからである。では、Aにはロスのみを、Bには利益のみを配分するという契約であればどうだろう。ここでは、Aの税金負担は減るが、Bの税金負担は増えることが予想されるため、この配分方法はSubstantialの判定になる。

 

こうした制約で、その魅力は割引かれはするが、依然として自由性に富んだ配分方法が許容されることで、パートナーシップは幅広く様々な投資家のニーズに応え続けているようである。

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