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パートナーシップの会計と税務の基礎 2015/10/04

会計税務情報2015年10月号

永野森田会計士事務所

 

パートナーシップの会計と税務の基礎

 

最近は日本人によるアメリカへのパートナーシップ投資が増えつつある。その背景には、アメリカと日本を自由に行き来することのできる通行手形―Green Cardの入手、不動産や農業のハイリターン期待、さては各種資源確保やハイテク技術取得といった動機が働いているようだ。パートナーシップへの投資活動が活発化する中、その独特の会計方法についての理解が求められている。本稿では、難解といわれている、Outside BasisとInside Basisについて解説する。

 

1. 投資対象としてのパートナーシップの特徴

      

事業に関与する手段としては、普通、自営、株式会社そしてパートナシップ(LLCを含む)の3つ選択肢があると考えられている。自営は特定一個人の資本出資という制限があるため、規模のメリットを生かすことはできないものと一般的に考えられている。多額の資本投資が必要になった場合には、先の選択肢で言えば、株式会社もしくはパートナーシップかということになる。何故なら、この法人形態においては複数の投資を受け入れることが可能だからである。

 

例えば、個人A、B、Cがそれぞれ10万ドルの現金を投資したいと思っている。この場合には、恐らくどちらの法人形態にするか、A、B、Cは、事業開始後の運営に注目すれば事足りるであろう。ところが、A、Bが現金10万ドル、Cは不動産市場価格10万ドル(この不動産は10年前に買ったもので、買値は5万ドル)を投資したいと思っているとしたらどうだろうか。

 

この場合、Cは事業を開始する前の段階で株式会社とパートナーシップの損得を比較することになる。株式会社を選択した場合、原則的にCはその時点では5万ドルのキャピタルゲインを認識しなくても良いのである。これと同じように、パートナーシップにおいても、キャピタルゲインを認識する必要はない。即ち、Bは、その取得価格(Tax Basis)をそのままパートナーシップに持ち込むことができるのである。

 

2. Outside BasisとInside Basisの意味

 

教科書には、Outside Basisというのは、パートナーの出資額Inside Basisというのは、パートナーシップ資産が持つBasisと、記述されている。では、上記の例で、A、Bは現金10万ドル、Cは不動産を拠出してABC LLCを組成したとして、これを当てはめると、どうなるだろうか。答えは、A、B、CのOutside Basisはそれぞれ、10万ドル、10万ドル、5万ドル、ABC LLCのInside Basisは、現金20万ドルと不動産5万ドルになる。ここでは、Outside BasisとInside Basisは一致している。

 

3. Outside BasisとInside Basisの乖離

 

パートナーシップを組成した時には一致していた、Outside BasisとInside Basisが違ってくることがある。それは、パートナーシップの持つ独特の特徴に起因している。先の例で、Cはパートナーシップから離脱したいと希望、AとBはCの持分を買い取ることで合意したとする。その時点でCが拠出した不動産の市場価格に変化がなく、10万ドルのままとし、ABC LLCはCに10万ドルの現金を払うと、ABC LLCのInside Basisは、15万ドル(現金10万ドルと不動産5万ドル)に対し、Cが去った後のABC LLCのOutside Basisである20万ドル(Aの10万ドルとBの10万ドル)と違ってくる。

 

4. Outside BasisとInside Basisの乖離の調整

 

前例をそのまま引継ぎ、Cが去った後ABC LLCが、不動産を10万ドルで売却したらどうなるだろうか。ABC LLCは5万ドルのキャピタルゲインを得て、その時点でOutside BasisとInside Basisが一致し、問題は解決したように見える。

 

ところが、実は一つ問題がある。Cは取得価格5万ドルの不動産をABC LLCに拠出した後、その持分を10万ドルで売却しているので、Cは既にキャピタルゲイン5万ドルを認識している。 もし、ABC LLCも5万ドルのキャピタルゲインをその時に認識することになると、計10万ドルとなる。実際のキャピタルゲインは5万ドルであるから、これでは不都合となる。

 

この不都合を解消する為に、Inside Basisを調整する内国歳入法第754条(IRC 754)が用意されている。ABC LLCは、この条項を使うことで、Cが去った直後に、不動産のInside Basisを5万ドル増やすことが出来る。すなわち、Inside Basisは現金も併せ20万ドルになり、Outside Basisと一致する。この一連の取引を税法では、754 Electionと呼んでいる。そうすることで、この不動産をABC LLC が後日10万ドルで売却してもキャピタルゲインは発生しないことになる。

 

ところで、先の例では、CがABC LLCを去る際、現金10万ドルを貰ったとしたが、別の例として、拠出した不動産をそのまま持ち帰った場合にはどうなるか。CはBasis 5万ドルの不動産を保有し続け、キャピタルゲインを認識することはない。ABC LLCには20万ドルの現金が残され、AとBのOutside Basisと一致しているので、754 Electionの必要はないことになる。

 

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