永野・森田米国公認会計士事務所では、日米会計、経理、簿記、監査、税務、など日系企業の
米国進出ならびに米国での事業拡大に貢献してきた米国公認会計士事務所です。

JAPANESE / ENGLISH

採用情報 / お問合せ

トップページ > ニュース一覧

FASBの40年から学ぶこと 2015/06/04

会計税務情報2015年6月号

永野森田会計士事務所

 

FASBの40年から学ぶこと

 

FASB(米国財務会計基準審議会)は1973年に設立され、その年に米国会計基準書(SFAS:“Statement of Financial Accounting Standards”)の第一号は誕生した。それ以来、40年以上の時間の経過とともに200近い基準書を発行してきた。米国会計基準の最上位機関として、常にUSGAAPならびに世界の会計基準をリードしてきたのである。今回、この40年間を振り返り、米国会計基準ならびに世界の会計基準の大きな流れとその影響について概説する。

 

1.エンロン事件とリーマンショックの影響

 

過去40年間余りの米国会計基準に関わる主な歴史的事象をFASBはホームページに示している。興味深い内容であり、下記にて整理した。その間世界で起きた主な出来事を重ねてみると、現在発生していることの背景等が見えてくる。FASBが設立され、会計基準書第1号が誕生したのは1973年、その後、数々の基準が生まれ、その複雑化した会計基準ヒエラルキーを体系化した“FASB Codification”が発表されたのは2009年である。

 

こうした動きに大きな影響を与えた歴史的事象が、2001年のエンロン、ワールドコムの不正会計発覚と2008年のリーマンショックであると考えられる。前者は、2002年のSOX法の制定につながり、監査法人への監視が強化され、同時に、会計基準のグローバル化のニーズの高まりや国際会計基準とのコンバージェンスの動きにつながったと考えられる。また、後者は、銀行業務の規制強化や投資家保護の動きとして、2010年の“Dodd-Frank 法”や2012年の“FATCA”の制定につながってきている。

 

2.金融商品の発展による影響

 

歴史全体を通して見ると、現在起こっている事象の主たる原因の一つが「デリバティブ」であることが見えてくる。デリバティブという金融商品は、現在、実物経済を遥かに上回る規模に成長し、世界の金融市場で取引されている。このデリバティブをコントロールするための各種規制が作られてきた。一方、そうした規制を超える新たな商品が次々に開発され、規制が追いかけるという状況が続いているように見える。市場の動きをフォローすることも、今後の規制を予測するうえで重要になってくる。現在、FATCA関連で、W8-BEN-EやForm 8621等の複雑かつ難解な報告書の提出が求められている。これに対応するには、報告書で求められるものが何か真正面から取り組み、分からないことは専門家に尋ねるようにすることが適切な対応であると考えられる。

 

3.年表

 

1973年 FASBが設立され、米国会計基準書第1号が誕生。

1980年 概念書(“Concept Statement”)第2号が誕生。

1984年 GASB及びEITFが設立される。(永野森田米国公認会計士事務所が米国ロサンゼルスで誕生)

1985年 NYプラザホテルで通貨に関する合意「プラザ合意」がなされ、その後一気に円高が進行。

1987年 GASB概念書第1号が誕生。この年米国株式市場は「ブラック・マンデー」を経験。

1991年 グローバル会計基準に関する国際会議にFASBが参加。

1994年 「将来事象-その認識と測定に関する重要性の概念的研究」という表題のスペシャルレポートを発表。(参加国:US、UK、Canada、Australia、New Zealandの5か国)

1995年 英国名門マーチャントバンクであるベアリング社が倒産。シンガポール子会社による巨額損失が原因の倒産。

1997年 デリバティブの時価評価を推奨するレターがグリーンスパン米国連銀総裁からFASBにあてて出されたが、FASBが拒否。この年会計基準書第133号が誕生。アジア通貨危機がタイから発生。アジア全体に拡大。

1998年 LTCM(“Long Term Capital Management”)が倒産。ノーベル賞受賞者の理論が通用しないことで衝撃が走る。

1999年 FASBが“International Accounting Standard Setting: A Vision for the Future”を発表。この年、リーマンがハイリスク、ハイリターンであるサブプライムローンの証券化ビジネスを開始。

2001年 エンロン、ワールドコムによる不正会計が発覚。いずれも大手監査法人が関与したため、会計不信が政界に拡大。

2002年 SOX法が急遽制定され、財務報告に関する内部統制の強化が企業経営者に求められることになる。FASBとIASBがノーウォーク会議で覚書を発表したのを機に、会計コンバージェンスの動きが本格化することになる。

2008年 サブプライムローン証券化ビジネスの破綻が原因でリーマンが倒産し、世界中にリーマンショックが駆け巡った。これを機に、米国大手投資銀行が経営難に陥り、大手商業銀行との統合の動きが加速。

2009年 複雑な米国会計基準の体系を整備した“FASB Codification”をFAFが発表。

2010年 “Dodd-Frank Wall Street Reform and Consumer Protection Act”が制定され、銀行に対する規制強化が本格化し、ディーリング業務を制限するボルカールールも制定された。

2012年 FATCAが制定され、各国当局及び金融機関に米国民の保有資産開示が求められることになる。

 

4.まとめ

 

「40年から学ぶこと」という表題には、このように、誕生した背景等を概観することにより、その意図することを読み解くヒントが得られ、将来の予想につなげられる、という意味を込めている。会計事務所は、こうした事象に対し適切なアドバイスを行うべく日々努力している。当所は、1984年米国カリフォルニア州に誕生以来30年余り、こうした努力を積み重ねている。

 

******

< メキシコ進出:5つの留意点 | 病欠有給休暇に関するカリフォルニア州労働法 >