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2014年米国法人税務アップデート 2015/03/04

会計税務情報2015年3月号
永野森田会計士事務所

2014年米国法人税務アップデート

今年の法人税のトピックスもオバマケアに集まった。丁度コインの裏表のように、米国ヘルスケア改革は個人税と法人税とセットに考えると全体像が浮かび上がる。さらに、2014年からは2013年秋に明確化された固定資産及び修繕費等の損金算入規定の適用が始まっている。これまで税務上、資産化しなければならない固定資産や修繕費等に関して明確な基準がなかったが、今回の規定により一括損金算入できる金額が明確になった。また、その具体的な申告プロセスについてもIRSは2014年から2015年にかけてガイドラインを示している。これら法人税に関する最近の論点について概説する。

1. オバマケアによる保険加入の申告義務

2014年より個人は、オバマケアに規定される保険に非加入の場合、個人所得税にてペナルティーの対象となった(詳しくは2015年2月号ニュースレター)。一方、オバマケアを推進する観点から、法人も責任の一端を負わされている。つまり、2015年より、一定人数以上のフルタイムまたはフルタイムに値する従業員を雇用する米国企業(Applicable Larger Employer)は、最低給付水準(minimum value*)以上で、かつ購入可能な(affordable**)健康保険を提供することが義務づけられている。もし提供できていない場合、その企業はペナルティーの対象となる。具体的には、2015年からは100名以上のフルタイムまたはフルタイムに値する従業員(full time equivalent)を雇用している企業に、2016年からは50名以上100名未満の従業員を雇用している企業に順次適用される。そして対象になった企業には、下に述べる新たな報告義務が発生するとともに、保険を提供しない場合はペナルティーが課される。

*Minimum value – 標準的な人の医療保険の総費用の少なくとも60%を支払うように設計されている場合は、その保険プランはこの基準を満たしている。
**Affordable – 「購入可能な」とは世帯収入の9.5%を意味する。

新たな報告義務
保険提供義務のある企業は、当該年度の翌年の2月末(書面報告の場合)もしくは3月末(電子報告の場合)までに、Form 1094-C(企業情報)および1095-C(従業員個別情報)をIRSに報告しなければいけない。すでにIRSはその申告フォームを公表している。

Form 1094-C Transmittal of Employer-Provided Health Insurance Offer and Coverage Information
Form 1095-C Employer-Provided Health Insurance Offer

企業がこれらの報告義務を負うが、実際の作成については、保険を提供する保険会社と共同で行われることが予想される。

ペナルティー
気になるペナルティー金額だが、従業員の保険加入義務の条件を満たしていない場合、従業員の最初30名分は免除されるが、30名を超えた人数の従業員に対して一人当たり$2,000が法人税ペナルティーとして課されることになっている。

2. 修繕費等の一括損金算入できる“Safe Harbor”の適用

2014年の法人税所得金額の算定では、企業の固定資産及び修繕費等(Repairs, Maintenance, Materials, Supplies)を損金算入できる金額が明確化された。このSafe Harborルールについては、2014年3月ニュースレターでも言及したが、最新の情報も加えて再掲する。

a. De Minimis Safe Harbor

●会計監査を受けている企業
CPAによる財務諸表監査を受けた企業については、請求書ごとに(per invoice or item)$5,000以下を一括損金算入できる。この選択(election)権を実行するにあたり、企業内の会計基準として、一定金額以下の支出について会計上費用化する旨を定めていなければいけない。また、実際の会計処理としても費用化していなければならない。

●会計監査を受けていない企業
以上の財務諸表上の要件を満たしていない企業については、請求書ごとに(per invoice or item)$500までしか損金算入できない。

このDe Minimisルールは選択適用であり、毎年選択(election)する旨、連邦法人申告書にStatementを付与して提出しなければいけない。

また、今回の固定資産及び修繕費等の規定では、多くの企業は会計基準の変更を余儀なくされる(例:どのような資材等をどのように費用化するか等)。その場合、Form 3115 Application for Change in Accountを提出する必要があるが、Small Business Taxpayer***については、このForm 3115提出は免除されることになった

*** Small Business Taxpayer – (1) この規則が適応された最初の年の初日の総資産が$10million未満、または、 (2) 過去3年間の平均総収入が$10million以下)の企業

b. Per Building Safe Harbor

Small Taxpayerが、一つの建物の修繕費用を損金算入できる選択制度である。この場合のSmall Taxpayerとは、過去3年間の平均総収入が$10million以下の企業であり、一つの建物とは取得原価が$1 million以下の建物である。該当する場合、選択することにより修繕費用が取得原価の2%以下で$10,000を越えないものについては損金算入できる。

3.まとめ

2015年以後については、従業員の人数により、オバマケアによる保険提供義務の有無とペナルティーに関して確認しておくことをおすすめする。また、固定資産等の資産化のルールに関しては、2014年にかかる申告から、上記のSafe Harborルールを適用することができ、節税につながる場合もある。

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