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日本の消費税の国際比較 2015/01/04

会計税務情報2015年1月号
永野森田会計士事務所

日本の消費税の国際比較

日本では、2014年の世相を表す漢字は「税」であったという調査結果が発表されている。昨年は、衆議院選挙で消費税の増税が話題になったからと考えられる。それにしても、昨年一年間を象徴する漢字が「税」の一文字であるとは、いかに税金、特に消費税について世間一般が関心を持っていたか、改めて気付かされる。そこで2015年新年号では、消費税に関してアメリカ等との国際比較によりその客観的な現状を概観した後、各国の消費税/売上税等の課税形態に関して概説したい。

1.日本の消費税

2014年11月の衆議院解散理由とその翌月の総選挙の争点は、消費税をいつ8%から10%に引き上げるかという単純なテーマであった。日本は、伝統的に増税には激しく抵抗するお国柄である。過去には増税を試みては総辞職に追い込まれた内閣が幾つもあった。今回の選挙公約では、2017年4月から消費税が10%になることになるが、国際通貨基金(IMF)は最低でも更に5%の上積みが必要と指摘している。では、日本の消費税は、今、世界的水準から見てどの程度の所に位置しているのか。消費や売上げを課税客体にしていると考えられる税金の以下の国際比較表をご覧いただきたい。

消費税等率国際比較

国名

消費税等名称

標準税率

日本

消費税(JCT)

8%

カナダ

Goods and Services Tax(GST)

5%-15%*1

オーストリア

Mehrwertsteuer(MWST)

10% -20%

フィンランド

Arvonlisavero(ALV)

10%-24%

フランス

Taxe sur la Valeur Ajoutee(TVA)

20%

ドイツ

Mehrwertsteuer (MWST)

7%-19%

オランダ

Belasting Toegevoegde Waarde(BTW)

21%

スウェーデン

Mervardesskatt(MOMS)

12%-25%

イギリス

Value Added Tax(VAT)

20%

アメリカ

Sales-Use Tax

9%*2

メキシコ

Impuesto al Valor Agregado(IVA)

16%

オーストラリア

Goods and Services Tax (GST)

10%

*1 連邦税であるGST自体は5%。これに州(Province)により異なるが、州税が最大10%課税される。
*2 州により異なる。ここでは、カリフォルニア州ロサンゼルスの例を挙げている。

上記で見る限り、日本の消費税の税率は、実は世界の最低の水準にあることが分かる。しかし、国によって課税形態や課税客体が微妙に異なっている。

 

2.日本及びその他の国の課税形態-付加価値税

日本の消費税は、EU型即ち、付加価値税(Value Added Tax-VAT)の形態をとっている。この方式によれば、物品の移転やサービス提供の全ての段階で所定の税率の消費税が徴収され、そのサプライチェーンの最後にくるのは商品やサービスの最終ユーザーになる。これを事業者の立場から見ると、物品、サービスの販売は消費税の受け取りを意味し、商品や原材料の仕入並びにサービスの利用は消費税の支払いとなる。事業者は、この消費税の受け払い(Output-Input 受取消費税-仕入税額控除)を自主的に精算し、受取りが多ければ、消費税の納付を、支払いが多ければ消費税の還付を申請することになる。この仕組みは、日本の消費税もヨーロッパのMWST,ALV, TVAと名称が変わっても、原則同じである。なお、EUの場合は、インボイス方式を採用しており、登録された課税業者が発行した税率(軽減税率等複数税率があるため)、税額が記載されたインボイスがなければ仕入税額控除できない。一方、日本の場合は、厳密なインボイス方式は採用されておらず、非課税業者からの仕入れでも仕入税額控除が可能である。

 

3.アメリカの課税形態-小売売上税

一方、アメリカの売上税は、小売売上税である。小売売上税では、最終販売者のみが売上税の徴収に関わり、物品の製造、卸売り段階では、そこで付加価値が発生していても付加価値が課税対象でないためVATのように課税されない。従って、当然VAT型のOutput-Input差額精算も行われない。二重課税をさけ、最終消費者のみが課税されるようにするため、最終消費者に販売されるまでの諸段階では、最終消費者でない旨を謳った証明書(Resale Certificate)を仕入先に提出することで売上税を免除する手続きが組み込まれている。このように、小売売上税は、サプライチェーンのあらゆる段階における付加価値が課税される付加価値税のメカニズムとは、明らかに異なっている。また、小売売上税では物品の販売のみに課税され、サービスの販売には課税されないのが原則である。さらに、小売売上税とはいっても、生産財(固定資産を含む)に関しては、固定資産等の生産財を利用するために購入した事業者が最終消費者とされて税負担をする。この点、付加価値税の場合は、固定資産を含む生産財の購入は価値の創造過程における費用として位置づけられる。そのため、生産に利用する資産の購入に対する付加価値税は、仕入税額控除の対象となり、購入者は負担しない。(なお、法の予定している間接税の負担者と、経済的実態としての負担者は異なることがあるが、上記においては経済的実態としての負担者は考慮していない。)

小売売上税の徴収形態を採用しているのは、米国の州や郡のみで、欧州を始め、中南米、カナダ、オーストラリアは全て、VATの形態を採用している。

まとめると、日本の消費税の課税形態は、世界で一般的になっている付加価値税であり、アメリカ型の小売売上税は、例外的な課税形態であるといえる。サービス販売には原則課税されていないため、消費に対する実効税率といった概念を考えるとアメリカの方が消費に関する税負担が低いという結果が出る可能性もある。しかし、アメリカの小売売上税は全て州又は郡税であり、連邦政府の財政は比較的高率な所得税でほとんど賄われていることにも留意する必要がある。国の財政難の中で直間比率を見直しつつある日本においては、IMFのいうとおり、欧州型の高率な消費税率が今後視野に入ってくるものと思われる。

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■ 永野森田会計士事務所からのメッセージ
イギリスやドイツ、スウェーデンなどEUの一部の加盟国では、外国人、外国法人から徴収したVAT, MWST, MOMSを積極的に還付する政策をとっている。永野森田会計士事務所では、こうした国で業務上で支払われた税金の還付支援業務を行っている。

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